試合会場   後楽園ホール(平成19年3月20日)
けつの寸評  強敵である。
 経歴も申し分ない。
 しかしながら、その分燃えるのが音田である。
 しばらく空いた期間が、さらにその思いを増幅させている。
 

そんなこんなで試合開始。
保住選手のそのたくましい体からも十分想像できたが、フックひとつが相当重く、いきなり階級の違いを感じさせる。
とはいえ、思いのほか冷静な音田のボディーもクリーンに決まる場面もあり、けして押されてもいない。
最初からハイペースな展開である。
顔面を捕らえられ、ドキッとする瞬間もあるが、打たれ強さは誰にも負けない。

しかしながら、1Rで両者とも息があがっている。
2Rが始まり、保住選手が強気に押し込んでくる。
コーナーを背にした音田に、保住選手のパンチが高確率でヒットする。ベテランらしいキレイなコンビに少々てこずってしまう。

と思ったら、音田のパンチが保住選手の顔面を強打。
保住選手は、以外と効いているようにも見える。
今回の音田は思いのほかクールである。

階級を上げたことがプラスに作用したのか、今回の音田は、正直調子が良く見える。
パッと見、さほどスピード感を感じさせないのであるが、保住選手の、もぐりこんだ時の至近距離からの回転はすごい。
ただ、その分疲労も蓄積されていることは、見た目にも明らかであった。

3R終了間際には、保住選手がバランスを崩す場面も見られ、「もしかして」と感じさせる。
似たタイプなのだろうか?
いずれにしても今回の音田は冷静な感じがする。
4Rに入り、音田のコンビも決まり始める。
ちょうどいい階級なのだろうか。

疲れの見える保住選手はネチネチとくっついてくる感じで、リズムに乗りかける音田をうまく抑えてくる。
やはり試合巧者なのだろう。

なんだかんだで、両者とも手数の多い展開である。
このラウンドの終了間際に、音田のボディーが決まり、保住選手はそのまましんどそうにコーナーに座った。
5R始まるなり、保住選手のラッシュ。
やばい!!
しかし止まるのである。
保住選手のガードは下がり始め、間違いなく打ち疲れであろう。

コーナーに戻る姿は、明らかに音田の方がシャキっとしている。
しかし、相変わらず両者の手数は途絶えない。
これは疲れる。
音田は顔にポンポンと入れられ、反撃に転じる瞬間にきつくホールドされてしまう。
保住選手のヒット率が上がり始める。
ヘロヘロなわりに、ポイントを着実に積み重ねていく。
音田は焦る表情も見せず、飄々としているようであるが、倒さなければやばい。

7R終了後も保住選手はコーナーへフラフラと戻る。

最終ラウンド。
音田は空振りでスリップ。
さすがに疲れてきているのだろう。

保住選手は相変わらず、音田の好きにはさせてくれない。
最終のゴングが鳴り、すべてを出し尽くした保住選手はやはりフラフラとコーナーへ戻った。

そして判定は0-3で音田の負けであった。

負けた気はさらさらない。
しかしながら、事実である。

その差は勝ちに対する、貪欲なまでの執念?
間違いなく、今回の試合で音田自身も学んだことがあったと思う。

でもやっぱりくやしいなぁ!!
 
対 戦 者   音田隆夫 16勝13KO6敗  VS 保住 直孝選手 35戦28勝22KO6敗2分
試合結果   8R 判定負け(0−3)


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